服用すると献血できない薬その理由と禁止期間は?その種類も紹介
最近よく「輸血用の血液が足りない」と言う言葉を聞きます。
それを聞いて身近なボランティア、善意の献血を考える方も多い事でしょう。
そして、いざ、献血センターへ行き…
「あなたの血液は使えません」とお断りされる。
(実際はこんなお断りのされ方はしませんよ?(笑))
正直これは、かなりヘコみます。
しかし、そのお断りがその場だけの話なのか、もう2度と献血ができないのか。
自分が献血を断られた理由を、あなたはきちんと理解されていますか?
服用していると献血できない薬の理由
せっかく献血してあげようと思っていたのに断られた!
私の血が汚いとでもいうの、失礼な!
善意をはね返されたような、こんな経験のせいで、
「2度と献血なんか行くもんか!」
となってしまう方も多いはず。
その気持ちは、至極当然のものだと私も思います。
しかし、輸血用血液がどんなに不足していても献血対象を妥協しない基準にはちゃんとした理由があるのです。
どんな薬であれ、薬を使用しているというのは、何らかの体の不調があるという事になります。
輸血したときの血液の状態も問題ですが、何より、献血されるご本人の負担が考慮されています。
そして当然、輸血を受ける患者さんに安心・安全・健康な血液を迅速に提供する為でもあります。
特に、医師により処方された薬を飲んでいる場合はご自身の負担となる可能性が大きいので、出来れば遠慮して頂きたいという事だそうです。
確かに、ここで無理して献血しても、薬の影響で血液が使えなかったりすると血を摂る側と摂られる側、双方に意味がないですよね。
それも、使用していたのが感染性の病のお薬だとして、万が一それが使われた時のリスクは計り知れません。
あなたは、その責任を負えますか?
せっかくのボランティアも台無しです。
献血をお願いしたいのは、基本、薬を使用されていなくても不調の無い、健康な方が理想なのです。
それを理解して頂いたうえで、一度や二度のお断りにめげずに、可能であれば再度、いえ再々度、献血に挑戦して頂きたいものです。
薬を服用中は絶対に献血ができないの?禁止期間は何日?
すべてのお薬が献血できない訳ではありません。
●服用していてもOKな薬。
●当日服用していなければOKな薬。
●服用したけど、飲まなくなってから3日 過ぎたらOKな薬。
●服用しているとNGな薬。
という感じで、段階に分かれています。
ただし、最終的な判断は問診時に医師が行います。
例えば、同じ薬を飲んでいたとしても、体調や服薬目的及び現在の症状などで献血できる人とできない人に分かれる場合があります。
ご理解ください。
花粉症などにより薬を服用されている場合、献血できないと誤解されている方は多いですが、通常、一般的な花粉症のお薬程度であればOKの場合が多いです。
問診票に、薬の名前まできちんと記入してみて下さい。
意外とあっさり献血できたりしますよ。
もし献血センターまで行って断られるのが嫌だと思うのなら、行く予定の献血センターへ電話で確認してみて下さい。
お問い合わせ先は、各HPに記載されています。
献血できる薬と できない薬一覧(抜粋)
以下は、当日服用OKな薬の一覧(抜粋)です。(2015年5月現在)
詳しくは各献血センターのHPにてご確認ください。
- サプリメント(ビタミン剤、ミネラル剤など)
- ※貧血治療中は除きます。
- 胃腸薬
- ※下痢の症状がある場合は不可。
- 降圧薬
- ※血圧がほぼ正常域の場合のみ。
- 漢方薬
- ※具体的な病名を持ち処方されている方は不可。(肝疾患、感冒、喘息等)
- アレルギー治療薬
- ※一部不可の治療薬があります。喘息のために服用されている場合は、症状により判断されます。
- 少量の女性ホルモン・避妊薬(ピル)
- ※更年期障害や月経困難症等の補充療法に服用されている場合はOKですが、緊急ピルの場合はNG。
- 局所投与の薬物(点鼻薬、点眼薬、塗り薬、貼り薬)
- ※広範囲に使用していたり、感染症による場合は不可。
- 抗潰瘍薬
- ※潰瘍予防薬として服用された場合のみ。治療として処方されている場合は、医師にご相談ください。
ただし、症状や服用目的によっては断られる場合があります。
どんな薬でも、きちんと自己申告して下さいね。
服用当日のみ献血できない薬
- 睡眠薬・抗不安薬・マイナートランキライザー
- 一部の鎮痛剤
- ※症状がない場合や軽い頭痛、生理痛等に頓用した場合の痛み止め。
- 高尿酸血症治療薬
- 高脂血症治療薬(※一部を除く)
- ※血小板採血以外については当日内服していなければ可。血小板成分採血については服薬中止後3日以上経過していなければいけません。
- 内服用筋弛緩薬
- 消炎酵素剤
- 前立腺肥大症治療薬
- ※アボダート・プロスカー・プロペシアを除く
- 利胆薬
…など。
前日の夜に睡眠薬を飲むのも、控えた方が無難でしょう。
せっかく献血当日まで気を付けていたのに、これだけで献血を受けられなくなってしまうのはもったいないです。
服用後3日間を過ぎれば献血ができる薬 もあります。
- 風邪薬や鎮痛剤(※一部を除く)
- 向精神薬
- 抗菌薬(抗生物質、合成抗菌薬など)・抗真菌薬
- 抗ウイルス薬
- 止痢薬
- 非ステロイド系抗炎症薬
- 痛風発作治療薬
- 喘息治療薬
- 事後に服用する緊急ピル
…など。
そして、 服用したら長期または無期で献血できない薬 もあります。
長期延期(※要相談)
- 治療用ホルモン薬(ステロイドなど):1ヶ月間献血延期
- 免疫抑制剤:1ヶ月間献血延期
- 乾癬治療薬(ソリアタン):3年間献血延期
- 前立腺肥大症治療薬(アボダート):6ヶ月間献血延期
…など。
- 抗けいれん薬
- 抗凝固薬・血小板凝集抑制薬
- 抗甲状腺薬
- 抗不整脈薬
- 冠拡張薬
- ※降圧のみを目的とする場合は可能な場合もあり。
- 強心薬等
- 抗癌剤
- 乾癬治療薬(チガソン)
…など。
このような薬はお医者さんに処方してもらって飲んでいるはずですから、一度かかりつけ医に訊いてみるのも良いと思います。
また、薬の服用以外でも献血には細かい規制があります。
その辺りは、サイト内記事「献血のメリットデメリット 献血の条件とは?~」にて紹介していますので参照して下さい。
最後に。
献血は、色々な条件があります。
中でも、一番警戒されているのは「感染」のようです。
感染の疑いが考えられる要素は、全て献血を断られると考えていいと思います。
なかでも面白かった(というのは不謹慎かもしれませんが)のが、
「ペットにかまれた場合は治ってからも3ヶ月は献血ができない」
というものでした。
これも感染症の疑いがあるためですが、ペットを飼われている方は要注意です。
ちなみに「人にかまれて傷ができた場合は6ヶ月献血できない」そうです。
喧嘩にも注意しましょう。(笑)
= 関連記事 =
>>献血のメリットとデメリット 献血の条件とは?献血できない人がいる?
>>海外旅行準備でワクチン接種は必要?費用や時期と期限 どこで受ける?
バイアスピリン 「無期延期(献血不可)」のところの「抗凝固薬・血小板凝集抑制薬」に該当します。
なお他は
クレストール この記事ではたまたま抜粋もれになっていますが
日赤の 「活動内容・実績を知る」>「血液事業」>「よくあるご質問」のところに詳記されているように、「高脂血症治療薬」は「当日服用OKな薬」です。
ファモチジン 「当日服用OKな薬」の「抗潰瘍薬」ですね。
状況的にはファモチジンはバイアスピリン服用していることからの予防的なものであると考えて良さそうですが、総合するとやはりバイアスピリンの服用があるので献血はまずできないということになるかと思われます。
なおこれらの基準に照らして、献血ができそうな状況の服薬状況であっても献血不可となることはありうることです。その逆は無いと言っていいでしょうけど。