富士山登山初心者登頂編 高山病予防と対策 歩き方とマナー
富士山は、古来より日本人の信仰の対象とされていました。
美しさでけでなく、度重なる噴火により荒ぶる神としても畏怖と崇拝を集めています。
富士登山は、そんな信者の方々の「登拝」から修行の一環として始まりました。
今回は、そんな富士山へ登頂する際の様々な注意をまとめてみました。
=目次=
富士山登山初心者が注意するべき高山病の予防と対策
富士登山に初挑戦される方が、まず気になるのはこれでしょう。
【高山病とは】
高地に登る事で気圧が下がり、脳へ供給される酸素が不足する事で起こる、頭痛や目まいなどの「低酸素症」の症状のことです。
急激に症状が出る事は無く、徐々に頭痛、吐き気などの症状が酷くなってゆきます。
症状の悪化の前に、やたら気分が高揚し、ハイになる場合もありますので、そちらの変化にも注意が必要です。
ベテランの登山家でも高山病になる事があります。
実際、ヒマラヤで30年案内人をしていた現地人(サブリーダー)が高山病にかかったテレビ番組を観たことがあります。
少しでもリスクをなくすために登山前から体調の管理、特に寝不足には注意して下さい。
【高山病予防】
すでにここで2000Mを超えています(御殿場口は1440M)ので、充分高所となります。五合目でストレッチをしたり、散策をしたり、ツアーの行程にもよりますが出来るだけゆっくりと高度に体を慣らすようにしておきましょう。
トイレが少ないから…と、水分を我慢するのは禁物です。もちろん、がぶ飲みも禁物ですが。
身体の代謝を良くすることは重要です。
ツアーなら、案内人の指示に従い適切に水分補給をしましょう。
高度が高くなるにつれ、どんどん酸素濃度が薄くなってゆきます。
意識して深く、多く呼吸する事を心掛けるようにして、頭に酸素を充分に行き渡らせましょう。
一泊する場合は、睡眠時に深く呼吸をすることを心掛けて下さい。睡眠中は呼吸が浅くなってしまい、その間に高山病になる事もあります。
意識のある間だけでも深く呼吸をするようにしましょう。
これは、ツアーなら案内人が場所とペースを管理してくれます。
あなたは休憩時には歩き回らず安静にし、身体を高度に慣らすことに専念しましょう。
後は気にやまず、登山を楽しむよう心掛けましょう。
高山病は、初心者でも必ずなるわけではありません。
(現に、40代で初めて登頂した私の母は無縁でした)
あまり頭に意識を向けることなく、富士山の景色や空気を楽しむようにしましょう。
せっかく貴重な体験をしているのですから、楽しまなくては損ですよ。
【高山病対策】
低酸素症状を感じたら、それ以上登ることはせず休息をとりましょう。
また、時間に余裕があるのでしたら、一度200~300M下りてみるのもいいかもしれません。
症状が落ち着いてから再チャレンジし、高度に体を慣らします。
しかしツアーは団体行動ですので、下りるのは難しいと思います。
その時は案内人の指示に従ってください。
ツアーの案内人はプロですので、適切な処置をとってくださいます。
あなたはそれに任せて、ゆっくり体を休める事のみに専念して下さい。
最悪、死に至る事もあります。身体に異変を感じたら、たとえツアーであろうとも無理をせず、案内人にしばらく休む旨を伝えましょう。
高山病に薬はありません。
症状が改善されないようでしたら、残念ですが今回は断念し、帰りのツアー客を待って(もしくは救助の方と一緒に、一足先に)山を下りましょう。
富士山登山初心者にもできる山の歩き方・登り方
富士登山は基本、傾斜のある砂場か岩場の繰り返しだと考えておいて下さい。
登山靴の選び方については、サイト内記事「登山靴で足が痛くならないための選び方やサイズの違い」を参照ください。
歩き方は、歩幅を小さく、ゆっくりと歩きましょう。
上体を起こし、靴底を地面に接地させて歩きます。
また、富士山には岩場が多いので、腕でバランスを保ちつつ、上体を起こします。
足が全て着けられる安定した足場を探すようにしましょう。
勾配がきつい岩場は斜面に対し直角に足を置き、つま先を少し外側に向けてハの字になる感覚で登ると踏ん張りがきいて登りやすいでしょう。
下りは、登りよりも膝に負担がかかります。
登りよりもさらに歩幅を小さくして、カカトから接地させます。
上側の足で踏ん張り、下側の足で踏みしめましょう。
金剛杖か、トレッキングポールは膝の保護のためにもあった方がいいでしょう。
ここで膝を痛めますと、一生辛い思いをします。
使い勝手がいいのはトレッキングポールですが、金剛杖の方が焼印(有料)も押してもらえますし、イベントとしては楽しいかと思います。
登山中は両手をあけておくことが大事です。
ウェストポーチにカメラや飴・チョコなどを入れておくと、大きな荷物(ザック)をいちいち触らなくて良いので便利ですよ。
山頂に着いたら休む前にダウンジャケットまで着込んでください。
まだ体の温かいうちに来ておかないと、強風と冷気ですぐに体温が奪われてなかなか回復しません。
ご来光待ちでは特に、断熱性のシートに座り、レインコートまで着込んで風を遮断します。
帽子をしっかりかぶって耳元をタオルなどで覆いましょう。
首筋や袖口を塞ぎ、とにかく冷気を入れないよう着込みます。
富士山登山初心者にも知っていて欲しいマナーと禁止事項
初心者とはいえ、登山客に違いはありません。
登山の基本的なマナーはもちろん、富士山ならではのマナーや禁止事項の厳守をお願いします。
挨拶は登山の基本ですが、登りの方が疲れ果て、声が出ない場合があります。
その場合は声掛けが負担になりますので、登りの人が挨拶しない場合は声をかけず、会釈のみにとどめます。
逆に、あなたが登りの側なら進んで挨拶を行ってください。
行き交う場合は登りの方に道を譲り、挨拶しましょう。
追い越すときは必ず「お先に」と声を掛けますが、細い登山道も多いので、あまり無理な追い越しはやめましょう。
トレッキングポールや杖を使う場合は先端に注意し、登山道を傷つけないようカバー(キャップ)をするようにしましょう。
杖が地面を削ったり、小さな石でも落としたりすると、下方で、その小さな石をきっかけとした落石事故につながる事があります。
誤って石を落とした場合は、大きな声で「落石注意」の呼び声を上げ下方に注意を促しましょう。
いくら渋滞や混雑で思うように進めなくなったとしても、登山道を外れる事は大変危険です。
きちんと登山道を通り、登頂しましょう。
富士山は、世界遺産にも指定された特殊な山です。
この貴重な財産を出来る限り今のまま、後世に残せるよう努力しましょう。
これらは登山に限らず、日常生活でも当然の事ですね。
それと登山の禁止事項として、単独行動を避けるというものがあります。
山は天候の変化や、体調の悪化など、様々な判断が必要となります。
その為、特に体力や知識の無い初心者は、絶対に一人になる事を避け、常に団体で行動するようにして下さい。
おまけ 山小屋について。
山小屋は、観光地のホテルとは違いあくまで、登山のための休憩・仮眠の施設です。
そのため、宿泊のための設備はほぼ無いと考えて下さい。
(毛布くらいはあるそうですが)
シャワーも洗面所もありませんので、ウェットティッシュがあると便利です。
また基本ザコ寝ですので、耳栓やアイマスクを持ってゆくと役立ちますよ。
山小屋は『泊まる』というより『休憩所』と考えておいた方がいいと思います。
静かに、安静を心掛けて、身体を高所に慣らすことに専念しましょう。
富士登山マナーと禁止事項 まとめ
富士山では、次の行為が法律で禁止されています。
鉄則として、ゴミは全て持ち帰りです。
登山で持ち帰るものは、思い出(写真)と自分で出したゴミだけです。
マナーを守り、ぜひとも思い出に残る楽しい登山を経験して下さい。
=登山関連記事=
●準備編●
「富士山登山初心者準備編 ルートと時期・装備や持ち物を紹介」
「登山靴で足が痛くならないための選び方やサイズの違いと歩き方」